Embedded ベトナム戦争の従軍記者となって戦争の記事を作るジャーナリズムシミュレーション

Embedded (Joe Wise様製作)

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ベトナム戦争の従軍記者となって戦争の記事を作るジャーナリズムシミュレーション

プレイ時間 20分

 

Embeddedは、ベトナム戦争時のアメリカの従軍記者が主人公の3Dシミュレーションゲームです。

ゲームは現代から始まり、現在はジャーナリストを引退した主人公に、孫からベトナム戦争当時に使っていたカメラが送られてきて、そこから1968年のベトナムまで記憶が飛びます。

ベトナムでは軍用車両の後ろから、アメリカ兵が住民を制圧している所や家が燃えている所、逃げ出す人々、住民の遺体などを撮影していきます。

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その後、軍の関係者にインタビューし、撮影した写真とインタビューで聞き出した内容を元に記事を作成していき、それによって全9種類の中からエンディングが決定されます。

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↓このゲームはこちら

 

 

つねこのプレイ雑記

 

このゲームのDLページの説明では、「あなたの記事は、ベトナム戦争を必要かつ愛国的な努力として支持しますか、それともそれを無計画で残酷な行動として非難しますか?」とありました。

とりあえず自分は、軍用車両の後ろで撮影が始まった際にはありのままを全て撮ろうと思いました。

しかし写真を撮っているうちに考えが変わり、主に住民が虐げられているさまを撮るようになり、インタビューパートでも民間人の死傷者などについて聞き出しました。

その結果できた記事がこちらです。

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記事の中身は、ソンミ村虐殺事件(実在するアメリカ兵による虐殺の事件)の様子について書かれていてアメリカ軍の正当性に疑問を呈するものでした。

その後、この行為に疑問を抱いている匿名のアメリカ兵から、事実を隠す上層部に変わって虐殺の事実を暴いてほしいという手紙を貰いました。

 

最初の説明では、プレイヤーは自由に写真を撮って良いという説明だったのに関わらず住民サイドから記事を作ろうと思ったのはちょっと恣意的だったかなぁと思いました。

つねこはドキュメンタリー番組が好きでよく見るのですが、撮影者がある一方に肩入れして作ったものや、臨場感を掻き立てるような音楽をつけたような作品は好きではありません。

 

このゲームの主人公は、ベトナム戦争時にはまだ大きな記事を書いたことがない新米という設定ですが、それが逆に物事を客観的に見ることができて良いのかなーと思いました。

しかしそれを操作していたつねこは感情の赴くまま住民サイドに立ってしまったので、もしつねこがジャーナリストなら結論ありきで記事を作る記者になってたでしょう。

 

 

話は逸れますが、以前に『ビデオ世代の自分探し』というドキュメンタリー番組を見ました。

記者になりたての、中東などの紛争地帯で映像を撮っている男性がメインの、普段はドキュメンタリー番組を撮影する側が主人公という珍しいドキュメンタリー番組でした。

世界中で起きている不条理な事件を、介入することもなくただただ事実のみを撮影していました。(パレスチナ自治区で難病の子供が医療を受けられず亡くなる様子など)

撮影者は西洋の若者で、おそらく不自由なく育ったおかげで、まだ特定の思想に染まることもなく物事を客観的に見ることができたのだろうかと思います。

 

それはそうと『ビデオ世代の自分探し』という邦題はすごく良くない!

原題は『THE THINGS WE KEEP』(直訳:私たちが持っているもの)なので全く違うし、作中でも自分探しをしている感じも無かったよ!結果たどり着いた先はあったけど。

 

あと、イギリスやフランスのドキュメンタリー番組は客観性が重視されている作品が多くて、見る分には良いです。

中国の台頭を問う作品でインタビューを受けたマクロン大統領が、あまりに客観的に見すぎていて「ええええぇぇぇぇ!!!」って驚いてしまうくらいには客観的でした。

 

アメリカの作品は自分の正義を証明するためな結論ありきで、事実を固めるために撮影しているものが多いような気もします。

臓器売買の闇を探る作品でアメリカの撮影者が、インタビューした相手を「あなたがしたことを悪いとは思わないんですか!?」と糾弾しだした時は「こんなドキュメンタリーみたことねえええ」と驚きました。

 

日本のドキュメンタリー、主にNHKが作っているものはたまに視聴しようとは思うものの空気がやけに重苦しかったり、深海探索のドキュメンタリーでは不安を掻き立てるようなBGMを入れたりと余計なことをしてくるので途中で視聴を止めることが多く、あまり語れません!

ですが、『空港、駅ピアノ』をドキュメンタリーと捉えるなら、好きな番組です。

ですがコロナ禍で新作が途絶えており、『空港、駅ピアノ』の名場面を視聴者投票で決めた番組が作られ、その後に作られた日本の街角ピアノではセミプロの演奏や歌唱付きの演奏など、視聴者受けを狙ったような編集になりました。

おそらくこのシーンが受ける!というのを作り手が知ってしまったことにより、空気感よりも感動を重視してしまったのでしょう。

 

東欧の作品は風景描写に時間を取っている作品が多い印象です。

場面転換時に、人々が歩く様子や電車が発着する様子などを30秒近くも流すことが多くて空気感を大事にしている感じですが、そのせいか重い印象もあります。

 

 

なぜか最後はつねこによるドキュメンタリー批評になってしまいました。

この記事書くのに3時間以上かかったようわああああああああああ!!!

 

つねこのプレイ風景

www.youtube.com